
1.「このあと どうしちゃおう」 作・絵 ヨシタケシンスケ
ヨシタケシンスケさんは、児童書の挿絵や広告美術など多岐にわたる分野で活動しており、特に絵本作家としての活動が知られています。彼の絵本は、ユニークな切り口と発想で読者を魅了し、子供だけでなく大人も楽しめる内容となっています。代表作には『りんごかもしれない』や『ねぐせのしくみ』などがあります。これらの作品は、子供たちに考えるきっかけを与える内容が多く、幅広い世代に支持されています。ヨシタケシンスケさんの作品はどれも考えさせられる内容が多く、本作もその一つです。
2.あらすじ(ネタバレ注意)
ヨシタケシンスケさんの絵本『このあと どうしちゃおう』は、亡くなったおじいちゃんの部屋を掃除していると、「このあとどうしちゃおう」と書かれたノートが見つかるところから始まります。このノートには、おじいちゃんが「自分が死んだらどうなりたいか」についての考えがたくさん書かれていました。例えば、「生まれ変わったらなりたいもの」や「天国ってきっとこんなところ」、「こんなお墓を作ってほしい」など、死後の世界についてのユーモラスな想像がかわいいイラストと共に記されています。この本は、死を描くことで生を描くというテーマを持ち、孫の男の子がノートを読むうちに、おじいさんの気持ちを考え、「死ぬ」ということの意味を考えることで、自分が「生きていること」の大切さに気づいていく内容となっています。
3.感想
「このあとどうしちゃおう」と書かれたノートには、
「りんごやねこにうまれかわってようすをみにいく、、、」
「うまれかわったらなりたいものーこうえんのいけのカメ、どうぶつえんのコアラ、、、」
「てんごくってきっとこんなところーおばあちゃんがいる!、、、」
「みんなをみまもっていくほうほうーつき、りんご、かさぶたになってみまもる、、、」
おじいちゃんの「このあと どうしちゃおう」ノートを見ていたら、主人公の孫の男の子と一緒にワクワクしてきます。
孫の男の子はふと思います。
「おじいちゃんはしぬのがたのしみだったんだろうか?ーでもちょっとまてよと思った。、、、」
「おじいちゃんはもしかしたら、ほんとはすごくさみしくてすごくしぬのがこわかったのかもしれない。」
孫の男の子はおじいちゃんの気持ちを想像します。
おじいちゃんがどんな思いで「このあと どうしちゃおう」ノートを書いたのか。
おじいちゃんの気持ちを想像することができる孫の男の子の優しさを感じます。
でも今となってはおじいちゃんのほんとうに気持ちはわかりません。
孫の男の子のおとうさんは
「もしじぶんがじんじゃったらどうなりたいかどうしたいかをかんがえて、だれかとはなしあったりノートにかいてみるのはきっといいことだよね」と言います。
孫の男の子はノートを買ってきます。
「さあ、ぼくだったらどうしちゃおうかな」と考えるうちに、孫の男の子と一緒に私自身も大切なことに気が付きます、、、。
「このあと どうしちゃおう」ノートのほかに「いきているあいだは どうしちゃおう」ノートがあってもいいかな、なんて思った。
絵本のラストシーンでの孫の男の子の行動とイラストは、ユニークと優しさを感じます!
4.気づき
「このあと どうしちゃおう」を読むまでは、死後の世界を深く考えたことはありませんでした。それはまだ私自身が「死は遠いもの」と思っているからだと思います。
この世に生まれた以上、死が訪れることは間違いなく100%です。
なのに、自分も周りの大切な人たちも「今日も明日も生きていて当然」と思い、日々を過ごしています。
この絵本は必ず起こる死について、楽しくユーモアたっぷりのイラストと文章で描かれております。「死について考える」ことから始まり、「今を生きることの大切さ」を教えてもらうことができました。
小さいお子様の身近で大切な方やペットを亡くされたなど、この絵本をお子様と一緒に読んで死について話し合うこともできるかなと思いました。
5.これからやりたいこと
家族や友人といきなり、「死について話そう」なんて言ったら驚かれると思いますが、
「この絵本一緒に読もう!」だったら話せるかな、なんて思いました。
現代人は日常の忙しさに追われ、「本を読む時間なんてない!」と言われそうですが、
絵本でしたらかわいいイラストと短い文章で、大切なことに気づかせてもらえます。
6.まとめ
死について考えると気持ちが重たくなりがちですが、この絵本は死について楽しく考えながらも、「生きているうちにやりたいこと」を考えるきっかけになり、気持ちが前向きになります。
子供だけでなく、大人も考えさせられる内容になっています。
「自分が生きているうちにやりたいこと」から、「大切な人と一緒にやりたいこと」も考えるきっかけになると思います。
「生きることに疲れたと感じている方」「自分や大切な人の死について不安を感じている方」など、この絵本を読んでみませんか?何か気づきがあるかもしれません。
この絵本を読まれた方は、どんな気づきがありましたか?
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!